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戦国ラブドール
第8章 紅天狗(べにてんぐ)
行長が高虎に目を配れば、高虎は首を横に振る。
「いや、ここは俺が後を追う。お前達は妹を連れて城へ戻れ。おそらくあれは、最近町で悪さをしている『紅天狗』の一味だろう。ついでに頭を捕まえて、裁いてやる」
高虎が駆け出そうとしたその時、馬が嘶きを上げて町中を突っ切っていく。だが高虎達を見つけるとそこで止まり、乗っていた武士――孫六が、下馬して皆へ訊ねた。
「何があった」
「孫六、どうしてここに」
「思うところがあって後を追っていた。それで市松達はどうした」
「さっき起こった窃盗の犯人を追っていったんだが、あいつら大海まで連れて行きやがったんだ。馬があるならちょうどいい、お前も探すのに力を貸してくれ」
「承知した」
孫六はそれだけ返すと、すぐ馬に乗り直し走らせる。
「おい、俺も乗せていけよっ!」
高虎は慌てて自分も駆け出すが、馬に追い付く事はなく遅れて姿を消していく。ひとまず行長と吉継は小夜を立たせて、城へと戻る事にした。
「それにしても、なんで孫六さんは、わざわざ馬に乗ってきたんでしょうね?」
「さあ。とにかく今は、お小夜ちゃんを守らなきゃ」