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戦国ラブドール
第8章 紅天狗(べにてんぐ)
大海の右腕と左腕が、それぞれ違う男に掴まれる。声を掛けた男は背後から正面に回ると、品定めするように大海を眺めた。
「ちっとでかいのは難点だが、その分胸もでかいからまあいいか。しかしこの髪色、赤月さんとそっくりだ」
「な、なんだいあんたら! 離せっ!」
「ここは俺ら『紅天狗』の縄張りよ。文句を言うなら、のこのここんなところまで足を運んだ自分に言いな」
男達は皆、先程の泥棒と同じ赤い頭巾を身に付けている。紅天狗などと名前を付けて粋がっているが、結局彼らは盗賊である。だが体を押さえられた状態で、大海が何か出来る訳でもない。男達は大海を抱え、森を進む。しばらく歩くと森は開け、廃寺が見えてきた。
廃寺の中に入ると、そこには盗まれたであろう反物を見定める男達が複数座っていた。その中に一人だけ、頭巾を被っていない若者がいた。
「赤月さん、見てくださいよこれ! いいもの拾ってきやしたぜ」
若者は大海と同じ年頃で体躯も大きく、髪の色も同じ赤髪である。赤月と呼ばれたその男の前に突き飛ばされ、大海はうつ伏せに倒れた。