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戦国ラブドール
第8章 紅天狗(べにてんぐ)
絶頂へ向かう動きに、大海の体も興が乗り高ぶっていく。
「行くぞ……奥まで出してやるから、全部飲めよ!」
そしてとうとう最後の砦も破れようとした、その時だった。
朽ちかけた廃寺の扉が蹴破られ、一人の少年が飛び込む。そして、場を一喝するように叫んだ。
「加藤孫六、参上!」
小柄な少年だが、その手に握るのは真剣。身なりを見れば、若いとはいえ武士だとすぐに分かる。ざわつく男達へ、孫六は勇猛に飛びかかった。
多勢に無勢だが、男達はだらしない姿で油断しきっていた。孫六の刀をかわすのに精一杯で、捕らえる事が出来ない。
「ガキ一人に何やってんだお前らはっ!! ちっ……仕方ねぇ」
赤月は大海から身を離すと、着物を雑に羽織り袋を取り出す。そして中身の粉を、孫六に向かいぶちまけた。
「ぐっ……ああっ!」
「今のうちだ、ずらかるぞ!」
目にしみる粉を浴びた孫六は、しばらくまぶたを開けられず動けなくなる。その隙に赤月達は大海を置いて、廃寺から逃げ出した。
「くっ……待てっ!!」
孫六は追いかけようとするが、足元がおぼつかず転んでしまう。もはや手遅れ、舌打ちして悔しさを誤魔化すと、刀を鞘へ戻した。