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戦国ラブドール
第8章 紅天狗(べにてんぐ)
残されたのは、男達が回収し損ねた盗品の反物と、裸でぐったりと倒れた大海。異様な空気に眉をひそめながらも、孫六は大海の着物を手に取ると声を掛けた。
「生きているか?」
廃寺に入る前から漏れていた嬌声や、目にした光景。大海がどんな目にあったか、いくら孫六とて分からない訳がない。露わになった肌をすぐに着物で隠してやるのが、孫六に出来る気遣いだった。
大海は大分力のない目で孫六を見ると、熱い吐息を漏らす。淫らな空気で満たされた肺から出るそれは、孫六の清浄な気をも犯そうと漂っていた。
「――大丈夫か、随分熱っぽいようだが」
息を吸い込むたび、孫六の背に妙な気配が走る。それを捉えたのは、大海だった。
「足りない……」
大海は孫六の首に腕を回すと、戸惑う孫六の唇を奪う。白濁を何度も受け入れた口内は妙な味が残り、孫六はすぐ離そうと肩を掴む。だが大海の舌が孫六の歯列をなぞれば、おかしな空気が孫六を固まらせた。
着物がはらりと落ちて、また大海の肌が晒される。正気であっても男を狂わす体だというのに、香が充満する今目にしてしまえばひとたまりもない。