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戦国ラブドール
第9章 犯す女
「そう、そいつだ。いや、直接確かめた訳じゃないから分からないけど……少なくとも、この場にいた奴の中で一番偉いのは間違いない。あかつき、とか呼ばれていたようだよ」
孫六はしばらく考え込むが、小さく首を振ると立ち上がる。
「まあ、それは後で皆に報告しておく。それより、私が訊ねたいのはお前の身の振りだ」
「あたしの……?」
「外に、馬を用意している。長浜から出たいと思うなら、私が能登まで送ってやろう。本当なら妹と一緒の時に問うべきだったのだろうが、こんな事になってしまったからな。帰せるのは、もはやお前一人だけだ」
「送るって……つまりそれは、秀吉の命令に逆らうって事だろう? 上が追放を決めたならともかく、あんたが勝手に帰しちゃ問題になるんじゃないのかい?」
「私は馬の腕に関して、城一番であると自信がある。たとえ追っ手を放たれても、私には誰も追い付けないはずだ」
「いや、心配なのはそこじゃなくて……」
大海はどこかずれた答えに肩を落とすと、頭を掻く。どう話すべきか悩み、口にしたのは真っ先に浮かんだ疑問だった。