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戦国ラブドール
第9章 犯す女
「離せっ、手打ちにしてくれる!!」
「俺を倒そうってか? あと一尺背丈を伸ばしてから挑むんだな、ガキ」
「子ども扱いするなっ!」
孫六が暴れても高虎はびくともしない。いくら口で怒鳴りつけても、恥ずべき場面を覗かれた羞恥、稚児扱いの悔しさ、それらはいつまでも孫六の腹の奥に残った。
揃いの赤い頭巾が、傾奇者の集まりと自称する『紅天狗』の象徴である。彼らはいくつかある根城の一つで、発散し損ねた欲を怒りに変えていた。
「くそっ、あのガキ! せっかくの女も、反物も台無しだ!」
その中で、一人だけ頭巾を被っていない若者、赤月は、顎に手を当て疑問を口にした。
「あのガキ……どこかで見た顔じゃなかったか? お前ら、何か思い出せねぇか」
「ん? そういえば……馬飼いの下男をしていたガキに、あんな顔があったような気がします」
「馬飼い?」
「そいつはどこぞのお侍様の目に適って、武士の身分に引き立てられたそうです。確かうちの近所の爺さん達が、そんな噂してました」
「そうか……あの女の着物も、割と良い仕立てだった。もしかするとあの二人は、知り合いかもしれないな」