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戦国ラブドール
第9章 犯す女
どこと決めずぶらぶらと歩いていると、大海の目に見覚えのある顔が目に入る。木陰で杯を傾け、月見をしているのは市松だった。
「あんた、こんな時間に何をしてるんだい?」
大海が声を掛けると、市松は冴えない表情を向ける。
「ああ……大海か。いや、馬鹿な自分に嫌気が刺してただけだ」
市松はこの前の紅天狗事件以来、かなり仲間から絞られたらしい。だが、それももう済んだ事。大海は市松の隣に腰掛けると、出来るだけ明るく声を掛けた。
「あんまり自分を卑下するんじゃないよ。あんた、友達思いで良い奴じゃないか」
「けどよ、虎之助のやつ、お前の顔は見たくないって顔も合わせてくれねぇんだよ。謝りたくても、それじゃ謝りようがねぇじゃねぇか」
市松は一気に杯を空にすると、また酒を注ぐ。
「いや……分かってんだよ。そりゃ、惚れた女を危険な目に遭わせたんだ、怒るのは当然だ。なんで俺はこう、考えが足りねぇかな……」
「けど、あんたがあたしを連れてったのは、あたしを他の奴と同じ仲間だと思ったから、その勢いでだろ? 女扱いされて遠巻きにされるより、あたしはその方が有り難いよ」