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戦国ラブドール
第9章 犯す女
「そ……そうか?」
「ああ、むしろあんたがそうやって気を遣わずにいてくれるのは、嬉しく思うよ」
浮かない顔をしていた市松の瞳に、光が戻り始める。初めの日こそ乱暴だと思ったが、市松は常に友のために声を上げていた男だ。大海は、自分のせいでその友情が壊れるのは見たくなかった。
「あたし、明日一緒に虎之助のところに行ってあげるよ。あたしはもう気にしてないんだから、あんた達がいがみ合う必要なんてないだろ? 失敗なんて、誰にでもあるんだ。あたしだって――いや、なんでもない。とにかく、仲直りした方がいい」
市松は酒を呑みながら、大海の言葉に頷く。そして、大海へ訊ねた。
「ありがとな、大海。ところでお前は、なんでこんな時間に外へ出てるんだ? お前も、何か悩んでんのか」
「それは……」
「愚痴を聞いてもらった礼だ、出来る事ならしてやるぞ」
市松はそう言うが、まさか淫夢に悩まされているなどと正直には話せない。だが、大海が胸に抱えるのは、それだけではない。今まで目を背けていた悩みを、自然と大海は打ち明けていた。