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戦国ラブドール
第9章 犯す女
「あたし……最近、何もかもが分からないんだよ。自分のしてる事が正しいのかも」
市松は、杯を傾けたまま、話に聞き入る。意見を挟まず全てを聞こうとするその態度は、普段の荒っぽさからは考えにくい優しさだった。
「あたし、こっちに来てからずっと、どうやって村に帰るかって事しか考えてなかったんだ。そのためにならなんだってしたし、もし小夜を帰す代わりに死ねって言われたら、喜んで死んだと思う」
「……そうか」
「けどさ、小夜は違うんだ。今の状況を受け入れて、その中で精一杯生きていこうとしている。新しい友達も作って、馴染んでる。それを見てたら、あたしのしてる事は、間違いの気がしてきたんだ」
「お前は、どうして自分が間違いだと思うんだ?」
「あたしは……結局村に、戻れないところに縛られて、今を生きていない。運命を受け入れて生きていく方が、自然じゃないかと思うんだ」
大海が溜め息を漏らせば、市松は大海の頭を撫でる。大きな手は存外心地良く、大海の頬に熱が集まった。
「確かに、現実を見てるって点では、小夜の方が割り切れてるな」