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戦国ラブドール
第10章 市松の暴走
「やっ……こんな事したら、虎之助がまた怒るよ……!」
大海は卑怯だと思いつつ虎之助の名前を出してみるが、市松は構わずに大海の着物を乱して素肌を晒す。大海はそのまま冷たい地面に押し倒され、乱れた着物から零れた胸を掴まれた。
「虎之助なんて知るか。俺が抱きたいと思って、何が悪い」
「んっ……」
「新しい自分になるんだろ。じゃあ俺のものになれ。全部、忘れさせてやる」
話を聞いてくれた時とは打って変わって、市松の手つきは乱暴である。快楽と共に走る痛みに眉をひそめ、大海は首を振る。
「この、馬鹿松っ! 酔いが冷めたら、あんたまたしょげる事になるんだから!」
もはや市松を止める術はないのだろうと、大海は悪態をつきながら諦める。何が悪いと問われれば、酒を飲んでいる市松に近付いた自分が悪いのだと思うより他はなかった。
「馬鹿とはなんだ! 俺は未来、秀吉様が誇る家臣になる男だぞ!」
「ああ……もう、分かったから。せめて、もっと優しくしてくれよ……」
大海が呟けば、市松は胸を掴んでいた手の力を弱める。肌を重ねているのにどこか色気のない空気に、大海は溜め息を漏らした。