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戦国ラブドール
第10章 市松の暴走
「わ、悪りぃ……」
「ま、でも覚えてないなら、あたしが忘れればなかった事と一緒だね。あたしだって保身で嘘をついたんだから、これでおあいこだ。虎之助のところに行って、一緒に謝ってこよう」
しつこく怒る事なく、あっけらかんと締める大海。市松は胸の騒ぎと、下半身の疼きを覚えた。
「――そ、そこまで言うなら付き合ってやらぁ。早く着物来て出てこいよ、俺は外に出てるからな」
市松は雑に着物を着流し、そそくさと外に向かう。目を合わせてしまえば、何もしないでいる自信がなかったのだ。
新しい一日は、若い果実のような香りで始まる。大海は背を伸ばし深呼吸すると、ひとまず土に汚れたままの着物を身に着け市松の後を追った。
虎之助は、孫六と共に早朝訓練をしていた。市松を見つけると顔をしかめるが、隣にいる大海に全ての思考が吹っ飛ぶ。
「お前、その髪どうした!?」
安全な城の中で、まさか賊に切られるはずはない。虎之助はもちろん、普段表情に乏しい孫六も、目を見開き大海を凝視した。
「それは……先日の、私のせいだろうか」