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戦国ラブドール
第10章 市松の暴走
「いや、これで良い。まさかこんな事をやらかすとは思わなんだが、これで良いのよ。あー、それにしても、思い切ったなお前」
秀吉がなぜそこまで笑うのか、志麻にも大海にも分からない。だが勝手な行動を咎めるつもりでないのは確かだった。
「大海。少し話がある、ついてまいれ。それと志麻、この女、今日から侍女として迎える事にした。よろしく頼むぞ」
秀吉は、連れ立っていた若い女を志麻に渡す。長い黒髪に、大きな吊り目。口元はどうしてか、布で隠している。
「さくや、と申します。少々喉が悪いため、口を隠すご無礼を働きますが、ご理解くださいませ」
さくやと名乗る女は、そう言って深々と頭を下げる。おそらく秀吉が、その辺りで見かけ気に入り連れてきたのだろう。相変わらずの女好きに辟易しながら、大海は初対面の彼女の運命に同情した。
そして秀吉は、大海を連れて城の大広間へ向かう。わざわざ人払いまで命じて何を語るのかと思えば、秀吉は開口一番に妙な質問を投げかけた。
「お前、拙者の事をどう思う?」
「は、はい?」
「包み隠さず、正直に答えよ」