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戦国ラブドール
第11章 苛立ちの半兵衛
半兵衛は撫でていた手で髪を掴むと、大海を壁際に放り見下ろす。
「半兵衛様!!」
佐吉は反射的に半兵衛の腕を押さえ止めようとするが、半兵衛が険しく睨めば言葉を失ってしまう。たった十六人で城を落とした男の覇気は、平素穏やかそうに見えても格が違っていた。
「佐吉も、納得がいかないなら見ていなさい。彼女が選んだ道の行く末と、その中で得る何かを」
すると影を矢で縫いつけられたように、佐吉は動けなくなってしまう。半兵衛は文句が消えた事を確認すると、大海に向き直った。
「恐怖や苦痛は、あなたが思うよりずっと心を蝕みますよ。それでもあなたは、新たな道を歩めると言えますか? 覚悟がないのなら、佐吉の言う通り逃げた方がいい」
「あたしは……決めたんです。何があっても、自分で選んだ道に後悔はしません!」
「そうですか。では、今すぐその邪魔な着物を脱いでみせなさい」
「え……?」
「出来ませんか? あなたの覚悟は、そんな程度のものでしたか」
上から降ってくる蔑みの言葉に、大海は唇を噛む。そして深呼吸すると立ち上がり、帯に手を回した。