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戦国ラブドール
第11章 苛立ちの半兵衛
「お前と妹は違う人間だ、妹がそれで構わないからといって、お前も同じ道を辿る必要はないだろう」
「それは、そうだけどさ。あの子は、強いなって思ったんだよ。見たくない現実に向き合って、真っ直ぐ付き合ってくのは難しいからさ。あんたも前言ってただろ? 弱いと思うなら、反省し改善すべきだって。だから、へこたれるまでは頑張るさ」
「……へこたれたら、どうするんだ?」
「さあ、その時になってみないと分からないね」
「分からない事だらけだな、お前は」
「馬鹿なんだよ、あたしは」
大海は立ち上がると、着物の土を払い三成に頭を下げる。
「今日は本当にごめん。あたしはあたしで、なんとかやってくから大丈夫だよ。あんたは将来偉くなるお侍様なんだから、あたしなんかに構ってる暇はないだろ? 色々気を遣ってくれるのは有り難いけど、時間を無駄に使う必要なんかないよ」
立ち上がった大海を、佐吉は見上げる事しか出来ない。不甲斐なさに拳を握っても、心に抱く靄は晴れなかった。
佐吉は沸き上がる激情を抑え、大海と別れ駆け出す。向かったのは、吉継の家だった。