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戦国ラブドール
第11章 苛立ちの半兵衛
「吉継!」
断りもなく勝手に入ってくる横柄な態度に、吉継は呆れ溜め息を漏らす。だが佐吉はそんな吉継の表情など素知らぬ顔で、思うまま語り始めた。
「これは俺だけの問題ではない、お前も知恵を出せ! いくら本人が納得しようが、あんな不条理を見逃すわけにはいかん!」
「なに、急に熱くなっちゃって。僕今日は気分が悪いから、放っておいて欲しいんだけど――」
「あの女、大海を城から出してやるにはどうすればいい!? 俺はなんとしても、あれを村へ帰すと決めたんだ」
吉継は眉間に皺を寄せ、片耳を塞ぐ。そして、半ば投げやりに言い放った。
「ああもう、そんなに言うなら身請けすればいいでしょ!」
身請け、という一言は、まくし立てていた佐吉をぴたりと黙らせる。ようやく話を聞く気になった佐吉へ、吉継は苛立ちながらさらに語った。
「遊女を解放する方法なんか、老いを待つか身請けしかないでしょ。けど、大海は自由のために身請けを承諾する女じゃない。それをするなら、藤堂の誘いに乗っているはずだからね。心から愛し合って、人生全てを捧げる気にならなきゃ頷かないさ」