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戦国ラブドール
第12章 月の掛け橋
大海の態度で大体を察したのか、小夜は小さく頷く。
「お姉ちゃんとわたし、二人で半兵衛さんのところに嫁入り出来たらいいのに。そしたら、半兵衛さんともお姉ちゃんともずっと一緒にいられるでしょ?」
「あんたねぇ、半兵衛殿だって迷惑しちまうよ、それじゃ」
あまり現実味のない言葉に、大海はどこかほっとしてしまう。小夜の恋は激情溢れる大人の恋ではなく、人として抱く好意の延長。そう大海は捉えたのだ。
「半兵衛さんだって、お姉ちゃんの事好きになるよ! だってお姉ちゃんは綺麗だし、わたしの自慢のお姉ちゃんだもん」
「ありがとね、小夜。けど別に、半兵衛殿とどうこうなりたい訳じゃないし、小夜が好きならなおのこと一人で見舞いにいってやりなよ」
「えー……でも、一人じゃ恥ずかしくて顔合わせられないよ」
小夜は手を合わせ、大海に頭を下げる。元々話を出したのは大海であるし、そこまで頼まれては断る訳にもいかなかった。
「わ、分かったよ。けど、本当についてくだけだからね」
大海が首を縦に振れば、小夜は大海の腕に抱きつく。そして真っ直ぐに、半兵衛の元へと連れ立った。