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戦国ラブドール
第12章 月の掛け橋
半兵衛は夜着のままで布団も敷いたままだったが、横にはならず碁盤の前で一人考え込んでいた。だが姉妹が来ると、碁盤を隅に避けて出迎えた。
「半兵衛さん、体は大丈夫ですか? 顔色は、そんなに悪くないですね」
「ええ、今日だって本当は休まなくたって大丈夫だったんです。なのに秀吉が、寝てないと駄目だと」
「それなら良かったです。昨日は、全然顔色とか分からなかったから……」
「っ、小夜殿、昨日とは……あ、いえ、何でもありません、それより、茶でも淹れましょうか」
半兵衛は明らかに動揺し、慌てて話を逸らす。大海も、小夜の言葉には引っかかるものがあった。
(そういえばさっきも、昨日がどうこうって言ってたけど……もしかして、昨日のあれを、見たのかな)
小夜は大海から話を聞くまで半兵衛が倒れたと知らなかったのだから、少なくとも昨日の夜までは半兵衛に会っていないはずだ。とすれば、会えるのはそれ以降――大海が、佐吉に連れていかれた後である。
とはいえ、半兵衛と別れた後も、大海はしばらく佐吉と過ごしている。小夜が現場を目撃せずとも、半兵衛と小夜が出会う可能性も充分にあった。