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戦国ラブドール
第12章 月の掛け橋
「謝る必要はありませんよ。それが普通です」
半兵衛は気にとめていないようだが、小夜はついていけない自分が情けないのか表情を曇らせた。
「良ければ、私が教えましょうか? やり方さえ覚えてしまえば、暇な時に姉妹で遊んだり出来るでしょう?」
村にいた頃、小夜は全く囲碁に興味がなかった。しかし、教えてくれるのが半兵衛ならば、話は別。小夜はころりと明るくなると、二つ返事で頷いた。
「はい、お願いします!」
「気持ちのいい返事ですね。ふふ、なんだか昔の吉継を思い出します」
「大谷さんを……?」
「彼も私の弟子で、前はよくこうして教えていたんです。小夜殿と同じく目を輝かせていて、素直に教えた事を吸収していって、それはもう楽しい一時でした」
半兵衛は機嫌良く、とても吉継を避けているとは思えない態度だった。そこまで綺麗な思い出ならば、なぜ今吉継を拒否するのか。ますます大海には分からなかった。
二人の間に埋めようのない諍いがあったとすれば、大海の心配はお節介である。だが、吉継に半兵衛を見舞いに向かうくらいいたわる気持ちがあり、半兵衛が吉継を嫌っていないのならば、すれ違いはもどかしかった。