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戦国ラブドール
第12章 月の掛け橋
 
「ごめんね、せっかく来てくれたのに。佐吉の事は気にしないで、上がっていって」

「でも、あんた具合が悪いんじゃ……」

「佐吉が心配性なだけだよ、僕は元気」

 吉継は大海の手を引き招き入れると、変わりに佐吉を追い出す。

「佐吉、後は彼女に看病してもらうから、帰っていいよ」

「吉継、お前な……元気だと言った舌の根も乾かないうちにそれか」

「元気って、何の事? ああ、体が凍えて今にも倒れそう……今すぐ人肌で暖めてもらわないと」

「吉継、そんなに具合が悪いなら、あたし帰った方がいいんじゃ」

「だから、僕は元気だよ? ほら、部屋はあっち」

 悪びれもせず真逆を言い放つ吉継に、佐吉は腹を立て怒鳴りつける。だが吉継は全く気にせず、両耳を塞いだ。

「吉継、お前いい加減にしろ! もう俺は知らんからな!」

「知らなくて結構。じゃ、また明日」

 怒る佐吉を放って、吉継は扉を閉める。そして大海を部屋まで連れ込むと、布団に寝転がり手招きした。

「ほら、こっちおいで。寒い時は、身を寄せ合うのが一番だよ」

「……佐吉は、いいのかい?」

「大丈夫、佐吉はあれくらいで怒るほど小さい男じゃないよ」
 
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