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戦国ラブドール
第12章 月の掛け橋
大海には佐吉が思い切り怒っていたように見えたが、吉継に友情が壊れると懸念する様子はない。大海には理解し難いがそれも友情なのだろうと、納得するしかなかった。
「それで、体の具合は結局いいのかい、悪いのかい?」
大海は、吉継の布団ではなく床に座る。吉継はしばらく不満そうに大海を見つめていたが、動かないと分かるとようやく口を開いた。
「佐吉が大げさに騒いだだけで、それほど酷い訳じゃないよ。ただ、少し寒気がして節々が痛むだけ」
「じゃあ、やっぱり病じゃないか。ふざけてないで、寝てたらいいのに」
「あんまり具合が悪いと思われたくないんだよ。僕より僕を心配するお人好しが、この城には何人かいるから」
「それって、佐吉の事かい?」
「ま、佐吉もだけどね。ところで、君は何の用で来たの?」
「それは……その、半兵衛殿が、あんたの事話してたから、気になって」
半兵衛の名を出せば、吉継は一瞬眉をひそめる。だがそれを悟られないよう、すぐに取り繕う。
「半兵衛様が? 悪口でも話してた?」
「悪口なんて言ってないよ、むしろ褒めてた。いつも囲碁を共に打って、すごく楽しかったって」