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戦国ラブドール
第12章 月の掛け橋
「ふぅん……それで、僕に会いたくてたまらなくなっちゃったの?」
「それは、そうと言えばそうだし、そうじゃないと言われればそうだけど」
「もしかして、誰かから聞いた? 僕が、半兵衛様から避けられてるって」
吉継の確信をついた問いに、大海は心臓が跳ねる。だが吉継は怒る訳でも泣く訳でもなく、笑い声を漏らした。
「君も大概お節介だね。普通はそんな話聞いたら、気を遣って知らない振りをするものでしょ? ろくに事情も知らないまま突っ込んできたのは、佐吉と君だけだよ」
「お節介なのは分かってるけど……けど、おかしいじゃないか。そんな仲が良くて、今も互いに思っているのに、避けてるなんて」
「ねぇ、こっちおいで? 添い寝して慰めてくれるなら、真相ってやつを教えてあげる」
吉継はもう一度布団を叩き、大海を呼ぶ。ろくでもない下心を持っているのは確かだが、その瞳の奥には寂しさがある。潜む暗闇に、大海は胸を締め付けられた。
「……あたしが、聞いてもいいのかい?」
「だって、聞きたいんでしょ? いいよ、君の馬鹿正直なところは、嫌いじゃないから」