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戦国ラブドール
第12章 月の掛け橋
 
 大海が吉継の隣に座ると、吉継は手首を引いて寝かせる。だが吐息が触れるほど近い距離に、大海はたじろぎ顔を赤くした。

「恥ずかしいよ、この体勢……やっぱりあたし、帰る――」

「じゃあ、背中向けていいよ。目が合わなきゃ、恥ずかしくないでしょ?」

 立ち上がろうとする大海をひっくり返し背中を向けさせると、吉継は後ろから大海を抱きしめる。確かに顔は見えなくなったが、熱っぽい体が密着したせいか、かえって大海の鼓動は早まった。

「半兵衛様は、あの通り体が弱いでしょ? そして僕も、負けじと体が弱くてさ。一緒に過ごしていると、半兵衛様の病が必ず僕に移ってたんだ」

 吉継が声を上げれば、耳に息がかかる。だが語られるのは、高まる鼓動とは裏腹の、悲しい告白だった。

「一年前くらいかな、ちょっと大きな病が移っちゃって、僕死にかけたんだよ。半兵衛はそれを自分のせいだと気に病んで、それから顔を合わせてくれなくなったんだ。別に、誰も悪くなんかないのにね」

「もしかして、今あんまり具合悪いと思われたくないのって……それがもし耳に入ったら、また半兵衛殿が気に病むから?」
 
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