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戦国ラブドール
第12章 月の掛け橋
「最近、城下では『紅天狗』なる傾奇者かぶれが暴れているそうだな。若者というものは一度世に反してみたくなるものだが……いささか戯れが過ぎるわ。高虎、お前に、この紅天狗の掃討を頼みたい」
「俺が? しかし、そんな些事より中国征伐の方が先でしょう。まさか俺を置いて出ると言うつもりですか?」
「秀長からも許可は取っている。なに、このような些事、数日もあれば解決できるだろう? お前の大きな体と長い足なら、すぐ軍勢に追い付く。出立が数日遅れるだけよ」
高虎は内心納得していないのか、眉間に皺を寄せ床を睨み付ける。だが秀長の了解を得ているならば、断る訳にもいかなかった。
「孫六、お前は紅天狗の親玉、もしくはそれに近い人間の顔を見たそうだな。高虎に付き、協力してやれ」
秀吉がそう声を掛けると、無表情だった孫六も不機嫌な顔に変わる。
「……孫六?」
「承知しました」
命令こそ素直に承諾するが、孫六の機嫌はどこか悪いままである。何がそこまで気に入らないのか分からず、秀吉は首を傾げた。
「紅天狗の目当ては、拙者から『二喬』を奪う事だ。くれぐれも、あの二人を奪われる事のないように」