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戦国ラブドール
第12章 月の掛け橋
「子飼い同士がどうこうしている中、お前は一人自由だな」
溜め息と共に漏れた小言は、幸い二人の耳には入らなかった。秀吉は手を叩き場の空気を切り替え、二人に改めて命じた。
「高虎、孫六。城下を荒らす賊、紅天狗を掃討し、二喬を守れ」
「はっ!!」
仲違いしていても、二人は声を揃え頭を下げる。わきまえる場を知っているなら大丈夫だろうと、秀吉は力強く頷いた。
秀吉との謁見を終えた後、高虎はすぐに子飼い達を呼び出し小さな評定を開く。市松と虎之助、佐吉と行長を加え、六人は膝を突き合わせた。
「佐吉さん、吉継さんはどうされました?」
「あいつはいつもの病欠だ。まったく、具合が悪い癖に、悪くない振りをするから病が長引くんだ。人の話も聞かないで――」
「あーあー、吉継さんが心配なのはよーく分かりました、また後で聞いてあげますから、まずは紅天狗をなんとかしましょ」
行長は強引に話を纏めると、高虎に視線を送る。それを見た高虎は一つ咳払いして、口を開いた。
「紅天狗が、羽柴に宣戦布告しやがってな。秀吉様の命により、俺達はそれを掃討する事になった」