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戦国ラブドール
第12章 月の掛け橋
 
「紅天狗って、この間のあれですか? 宣戦布告って、そんな物騒な」

「目的は、秀吉様の持つ『二喬』を奪う事。この間の一件で大海に目を付けたんだろうな。で、妹も美人だと知って、図に乗ったんだろ」

「これだから育ちの悪い輩は困りますわ。名器とは、物の価値もろくに分からない人間が手に出来るようなものじゃありませんのに」

「そのおかげで、俺は一人中国征伐に遅れて出発だ。ただお前達にとって事件の解決は悪い話じゃない。成果次第では、此度の戦に参加を認めるとさ」

 思いがけない褒美に、全員がざわめく。戦をしたくてたまらない若い武士達に苦笑しながら、高虎は話を進めた。

「それで、紅天狗だ。奴らは普段、頭巾で顔を隠している。外せば一般人に紛れてしまうが、この付近をねぐらにしているのは間違いない。一人生け捕りにすれば、芋づる式で捕まるだろう」

 すると佐吉が、自身の両腕を前で組みながら訊ねる。

「布は、どういう経緯で見つかったんだ? 紅天狗が、城の中に紛れている可能性もある」

「なんでも、庭の植木に結ばれていたものを、侍女が見つけたらしいぞ」
 
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