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戦国ラブドール
第12章 月の掛け橋
「とすれば、紅天狗が城へ侵入したという事だ。だが秀吉様の長浜城は、易々と賊が侵入出来るものではない。内に手引きした者がいるはずだ、まずはそこを叩くべきだろう」
「確かにそれは定石の方法だな。だが、まどろっこしい。奴らは若者が中心だ、結束が固いとは思えない。頭を叩けば、残りはこちらが手を出さずとも散り散りになるはずだ。ごちゃごちゃ捜索するより、力ずくで手っ取り早く一人捕まえた方が効率的だ」
「だから、そのための定石だろう。捜索せずに、どうやって紅天狗の尻尾を掴むつもりだ」
「簡単だ、奴らの欲しいものを餌に使えばいい」
紅天狗の目的、それは大海と小夜の確保である。だが行長より早く、虎之助がそれに異を唱えた。
「囮なんて、俺は反対です! 妹は性格上無理でしょう。姉の方なら自ら志願するかもしれませんが、あいつはあいつで引き時を知りません。囮なんか任せたら、深入りして無茶するに決まってる」
「降りかかる火の粉は、俺達が全て払えばいい。無茶をしようが馬鹿をしようが、守ってやれば問題ないだろう?」
高虎は自信に満ち溢れていて、虎之助の言葉を一蹴する。