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戦国ラブドール
第12章 月の掛け橋
高虎は虎之助と同じ歳の頃、滅びゆく浅井を支え激戦を繰り広げた男である。守るという言葉一つでも、子飼い達とは重みが違った。
「私は、虎之助に同意する。秀吉様の命は、二喬を守り紅天狗を掃討する事。庇護すべき相手を危険に晒すのは、功にはやる愚か者の論理ではないか」
「愚か者だ……? おい、随分と生意気な口を聞くじゃねぇか」
孫六のあまりに直接的な侮辱に、高虎は目をつり上げる。だが孫六は全く介せず、高虎へさらに挑発的な言葉を投げつけた。
「大体、誰かが意見を出しても、皆の言葉を聞かずお前が勝手に却下するのはなぜだ? 話を聞く気がなく自分の作戦を実行したいだけならば、皆を集める意味もあるまい」
「おい、ガキ。そういうお前こそ、今日顔を合わせてからずっと俺を睨んでたな。好き嫌いは勝手だが、表に出すんじゃねぇ。不愉快だ」
「そのように人を稚児扱いする奴に、なぜ気を遣ってやらねばならないのだ。こちらこそ不愉快極まりない」
体躯のいい高虎と小柄な孫六では、喧嘩にならないくらい差がある。だが孫六は構わず高虎の睨みに対抗し、厳しい視線をぶつけた。