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戦国ラブドール
第12章 月の掛け橋
剣呑な空気を遮ったのは、行長が手を叩く音だった。
「はいはい、一体あなた方は何のために争ってるんです? 羽柴に関係ない意地の張り合いなら、よそでやってください」
行長の仲裁に、二人はひとまず矛を収める。それを確認すると、行長はさらに続けた。
「まず大前提として、姉妹に今回の件を漏らす事は出来ません。大海さんは知れば深入りするでしょうし、小夜さんは必要以上に怯えてしまうでしょう。事件を知らせれば、二人の護衛はかえって面倒になると思います」
理の通った言葉は、是非はともかく皆の耳へ素直に通る。それに意見したのは、高虎だった。
「それはそうだが、どちらかだけに教えるという手もあるんじゃないのか?」
「高虎さんは大海さんに協力を仰ぎたいでしょうが、彼女は嘘やごまかしが苦手な人間です。絶対どこかで知られるでしょう。あれだけ近い仲の片方だけに知らせるのは、はっきり言って不可能です」
「じゃあ、どうやって紅天狗をおびき寄せるんだ」
「まあ、まずは最重要任務である二喬の保護から考えましょうよ。小夜さんは元々大人しいので普通に見守るだけで大丈夫でしょうが、問題は大海さんです」