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戦国ラブドール
第12章 月の掛け橋
 
「あれはいい性格じゃないか。恐れを知らず、敵相手に気丈であり続ける。囮を頼むには最適だ」

「しかし、猪武者はあっさり死にますよ。それは、高虎さんが一番良く知っているんじゃありませんか?」

「……そこまで俺の意見を否定するなら、何か案はあるんだろうな」

「ええ、もちろん。彼女達を守る、最適解です。まずは小夜さん。彼女は普通に長浜で、皆で見張りましょう」

「大海はどうする」

「彼女はここにいると、そのうちどこかから事件を知ってしまうでしょう。実は私、秀吉様からちょうど堺の父宛てにおつかいを頼まれていましてね。それに同行してもらおうと思います」

「堺へ? わざわざ遠くに出たら、それこそ狙われないか?」

「同じところに二人がいたら襲撃は一度で済みますが、離れていれば二度起こります。さらに言えば、紅天狗の古巣は近江。遠い堺に襲撃をかけるとなれば、穴も出来るでしょう」

 行長の意見に、高虎も納得し頷く。さらに行長は饒舌に続けた。

「佐吉さんは吉継さんが回復したら、内通者を調べてください。他の皆さんは、小夜さんの護衛と、紅天狗がどこかで尻尾を出していないか探る、といった流れでどうでしょう」
 
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