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戦国ラブドール
第12章 月の掛け橋
「行長、堺には、どれぐらい滞在する予定だ?」
「まあ、せっかく実家へ里帰りでもありますから、多少のんびりしましょう……と言い訳すれば、十日くらいでしょうか。それ以上向こうにいたら、仕事を怠けるなと父に追い出されてしまいます」
「十日か。じゃあその間に解決すれば、問題ないな。皆もさっさと終わらせて戦に出たいだろ、ひとまずその案で行こう」
しかし皆が頷いたその時、虎之助が声を上げた。
「待て! それじゃ、お前一人に大海を任せろってのか? お前みたいな信用出来ない人間に、あいつを渡せるか!」
「とは言われましても、それが最善でしょう? 虎之助さんは、私の案を廃棄して彼女をごまかせる案があるとでも?」
知恵を求められれば、虎之助には返す言葉がない。だが虎之助は、拳を握り屈辱を抑えながら口を開いた。
「――俺も、同行させてもらう」
「は? 同行って……まさか、堺に?」
「ぐだぐだ言うな、俺は決めた! 俺も護衛として共に行く!」
「いや、あなた自分が何を言ってるのか分かります!? うちは、一家揃ってあなたの嫌いなキリシタンですよ!?」