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戦国ラブドール
第13章 欲というもの
「二人とも、と言いたいところですが、もし違っていたらと思いますとね。大海さんは鋼の心臓ですから心配いりませんが、小夜さんは大変嘆かれる事でしょう。知らせるなら、本物だと分かってからがいいんじゃありません?」
「あんたねぇ、人の事をなんだと思ってんだい! でも、確かにそれもそうかもね。今回は、あたしが一人で行くよ」
「よろしくお願いします」
すっかり行長に乗せられ、大海は頷く。もう二度と会えないと覚悟した父と、再会する機なのだ。大海が首を縦に振らないはずがなかった。
そして、堺に来て現在。想像以上の豪商振りに、大海は疑いを覚えていた。こんな大きな屋敷に住む人間が、能登で慎ましやかに暮らす父に興味を抱き、さしあたっては大海と会いたいと思っているなど、信じがたかったのだ。
「心配しなくても大丈夫ですよ。デウスに誓って、嘘はありません」
「そうは言っても、この豪邸を見てるとね……」
するとちょうどその時、部屋に侍女が現れ三人を呼び出す。行長の父、隆佐の準備が整ったようである。大海はひとまず立ち上がると、行長と虎之助が進む後に続いた。