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戦国ラブドール
第13章 欲というもの
行長の父、小西隆佐。行長と同じく大柄な男だが、彼は縦より横の方が目立つ。ふくよかな体型は、また豪商の証でもあった。
また、それ以上に目立つのは着物である。隆佐が着ているのは、南蛮人が着ているものと全く同じものだったのだ。
「秀吉様からの書状、確かにいただきました。ま、秀吉様はお得意様ですから、無条件で協力しますよ」
行長と同じく西の訛りが混じった軽い口調は、緊張を緩ませる。行長もすっかりくつろぎ扇子を扇ぎながら、愛想良く笑った。
「なにせ今回の戦は秀吉様一番の大仕事ですからね。頷いてくれなきゃ首が回りませんよ」
「相手は毛利でしょ? あそこは銀山に海運と、やたら金持ちですからなぁ。ま、堺衆の力には敵わないと、思い知らせてやりましょ」
「父上、しかしせっかく実家に里帰りしたんですから、ちょっとくらい居座らせてくださいよ。この通り、今回は気心の知れた友人も一緒ですし」
「友人、ねぇ。随分と怖い顔の友人ですこと」
隆佐の目に映るのは、文句こそ言わないがずっと仏頂面の虎之助。隆佐はすぐに視線を大海に向けると、行長とよく似た、人好きのする笑みを浮かべた。