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戦国ラブドール
第13章 欲というもの
「それに比べて、お嬢さんの美しいこと! しかし、髪の毛がもったいないですなぁ。お嬢さん、切った髪の毛、持ってます? よければわたしが高く買いますよ」
「父上、初対面の女性にそんな失礼な話はよしてくださいよ。まったく、がめついんですから」
行長は人の事を言えた立場ではないが、すっかり自分を棚に上げて文句をこぼす。大海が呆れて失笑すれば、隆佐はさらに大海へ迫った。
「しかし、こんな美女が友達とは、少々疑わしいですなぁ。わたしが独身なら、友達なんて緩い立場じゃ満足できませんよ。実は恋仲だった、なんて事は――」
だが隆佐が軽口を言い切る前に、今まで黙っていた虎之助が口を挟む。
「そんな事はありえない。この女は秀吉様が大事になさっている『二喬』の姉妹、手を出すなどもってのほかだ」
「はぁー、なるほど……想い想われ、複雑なんですなぁ」
失礼な虎之助の態度に、隆佐は怒るどころかますます喜ぶ。親しげなようで、どこかもう一つ掴めない。隆佐と行長は、よく似た親子だった。
「ま、せっかく堺に来たんです、観光の一つや二つ、ばちは当たらんでしょ。小西家は、全力であなた方をもてなしますよ」