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戦国ラブドール
第13章 欲というもの
「そんな事言って、息子が使者だと饗応に金を使わなくて済むー、なんて言っていたのはどのお口でしょうね」
「はて、そんなケチな話は誰がしたんでしょうねぇ」
したたかな親子に戸惑いながらも、まずは使者としての役目を無事終えた事に大海は安堵する。そして、大海にとってはこれからが本番。来るべき時に備え、身を引き締めた。
「さーて、行長。わたしは美人のお嬢さんと個人的なお話をしたいから、お友達とちょっと外へ出て行きなさい。お小遣いはあげますから」
「もう子どもじゃないんですから、小遣いなんていりませんよ。じゃ、虎之助さん行きましょうか」
行長は立ち上がるが、虎之助は不信の目を親子に向けたまま動かない。疑り深い虎之助に呆れつつ、行長は虎之助の手を引き強引に立たせた。
「心配せずとも、耶蘇教は妻以外の女性と姦淫は禁止ですよ。敬虔な信者である父が、間違いを起こすはずがありません」
「それこそ、どの口が言うってんだ。お前みたいなのがいる限り、デウスなんか信じられるか」
「はいはい、虎之助さんお約束は? 文句があるなら、帰ってもらって結構ですよ」