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戦国ラブドール
第1章 拐かされた少女達
「よ、よろしいのですか?」
「織田は、こんな田舎の村から搾り取らねば首が回らぬような貧乏武家ではないわ。ま、柴田の馬鹿鬼が惨めに逃げ帰った時にこの村を見つければ、ここぞと襲うかも分からんがな」
柴田とは、畠山家へ救援へ向かった織田家の筆頭家老であり、今回の戦の総大将である。同じ織田家家臣だというのに、負けると確信したような言い草は、老人に疑問と焦りを与えた。
武士の話が真実になるかどうかは別にしても、もう一度接収されては村の存続に関わる。この武士が去れば、生き残るため直ちに村人は避難しなければならないだろう。逃げ遅れないためにも、迅速に行動しなければならなかった。
総大将が危機だと思うのに、どうして武士は手取川から遠のいているのか。そんな疑問を口にすれば、どんな目に遭うか想像も出来ない。老人は誰しもが抱く疑念に目を瞑り、ただ平伏し続けた。
ともあれ、米が半分残るのであればどうにでもなる。老人がひとまず安堵した、その時だった。
「だが、拙者には一つだけ足りないものがある。それを、米の代わりに貰い受けよう」