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戦国ラブドール
第1章 拐かされた少女達
「へぇ、差し出せるものであればいくらでも……それは一体なんでしょう?」
馬か牛か、あるいは鉄か。どれもこの村には必要最小限しかない。老人が再びやきもきし始めると、武士の鼻の下が僅かに伸びた。
「足りぬのは、女だ」
「はっ……はい?」
戦から遠ざかり、味方が負けるような危機である時に、なぜ女が必要なのか。老人は思わず、素っ頓狂な声を上げてしまう。女も略奪の中では価値のある品ではあるが、どう考えても武士は華やぐ必要のない環境のはずだ。
「聞こえなかったか? 女が必要だ、それも若く、とびきりの美女だ」
あるいは、主君への貢ぎ物か。美女を欲する理由は、老人には一つしか考えられなかった。
「ただ若いだけの女ならそこそこいますが、とびきりの美女となると、そう沢山はいませんが……」
「だから、拙者も美女を探しているのだ。美女とは、なかなかお目にかかれないものだからな」
高圧的だった武士がにやりと口角を上げ、そう呟く。老人はその猿のような笑みに、どこか親しみを覚えた。機嫌が悪いために恐ろしく見えていたが、実はそう悪い武士ではないのではないかと。