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戦国ラブドール
第14章 海の向こうに
だが、それに難色を示すのは虎之助。威嚇するように鋭く行長を睨むと、冷たく言い放った。
「悪いが、それは無理だ。明日は俺と一緒に町を回る約束をしているからな」
「観光なんて、別に必ず明日じゃなくても構わないでしょう? 宣教師はあなたと違って暇じゃないんです、せっかくの貴重な機会を奪うなんて、大海さんに申し訳ないと思わないんですか?」
「約束は約束だ、そうだろう?」
「まあ……先に約束したのは虎之助の方だからね、それを破るのは不義理だ。行長、有り難い話だけど、今回は遠慮するよ」
「大海さん、そうは言っても、あなたのお顔は正直ですよ? 興味あるんでしょ?」
行長に追及されると、大海は言葉に詰まる。不義理は嫌うが、嘘も嫌う大海は分かりやすい顔をしていた。
「安易に約束を破るのは感心しませんが、何事も例外という事があるでしょう。正直に言ってもばちは当たりませんよ」
「……確かに、宣教師がどんな話をするかは、気になるよ。けど、今日あまり町を見て回れなかったのも事実だし、虎之助の話だって、あたしにとっては同じくらい大事だ。せっかく気を遣ってくれたのに、ごめん」