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戦国ラブドール
第14章 海の向こうに
「それはそれで単純なお話ですこと。ま、それぐらいうちの料理が魅力的って事ですから、よしとしましょう」
「ちっ……仕方ねぇな」
「ああそうだ、食事が終わったら風呂を用意するよう申し付けてありますから、皆で入りましょう」
風呂、という単語に、大海と虎之助は目を丸くする。武士であっても、それなりに地位のある者でなければ自宅に風呂など設置出来ないというのに、行長はまるで当然のように語ったのだ。大海に至っては、湯屋ですらそれほど経験がない。自宅の風呂など、未知の領域であった。
「ただし、湯屋と違ってそれほど広い訳ではありませんよ。本当なら、虎之助さんにはご遠慮いただいて、二人きりで入りたいところですが」
「そんな馬鹿を許すと思って言ってるのか? 二人にしたら、お前悪い事を企むだろ」
「どこぞのお虎さんじゃあるまいし、私はそんな事するもんですか。実家の風呂なんですよ、他の家族や、宣教師だって入るところで悪い事はしたくありません」
「宣教師?」
「あちらの国の方は、風呂という文化が大好きなんですよ。とはいえ湯屋に行くには少々目立ちますから、うちで風呂を貸しているんです」