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戦国ラブドール
第14章 海の向こうに
行長は大海と同じように微笑むと、冗談めいて肩をすくめる。
「今の話は、のぼせた人間の戯言だと思ってください。いざ本当の意味を知る事があれば、恥を掻くかもしれませんから」
「恥だなんて思わないよ。むしろそんな好意的に解釈してくれて、嬉しいんじゃないかな」
「だって、私らしくないでしょう?」
「らしいとからしくないとか、そんな事で考えを決めるのはもったいないだろ。あんたがそう思ったなら、それがあんたらしいって事じゃないか」
大海の言葉に、行長は一瞬面を食らった顔をする。だがすぐに今まで以上の笑みを浮かべると、大海から球を返してもらい立ち上がった。
「親だって、こんな私は私らしくないと言いますよ? でも……たまにはらしくない私でもいいかもしれませんね」
元の場所に球を置くと、行長は襖に手を掛ける。
「今日はのぼせて具合が悪いので、大海さんはここで寂しく一人寝してください。虎之助さんのところに戻ってはいけませんよ? 私がのぼせたと知れば、きっと馬鹿にするでしょうから」
そう言って部屋を立ち去っていくが、行長の足取りは軽い。とても、具合の悪い人間の歩みではなかった。