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第15章 恐怖、再び

　
　自ら宣戦布告したのだから、それから動きを見せないのは不自然だ。子どもが聞いても、すぐに内通者の存在を疑うだろう。

「なのに、あなた方は方向転換し佐吉さんへ協力しようともせず、効率の悪いやり方をいつまでも続けた。相手を舐めてかかっている証拠です」

　するとそこへ、不意に市松が口を挟んでくる。

「おい、行長。この事件の責任者は高虎さんだぞ。なんでお前が、筆頭みたいな態度を取ってるんだ」

「今この時、そんな些事を気にしている場合ですか!?　大体、あなたは何をしていたんですか！　こんなばらばらな連中を前に、ただ呆けて見ていただけなんですか!?」

「お、俺はお小夜ちゃんをずっと護衛してたぞ！　つってもお小夜ちゃん、俺の事は好いてないみたいで近付けないが……しかし、侍女達の屋敷に、侍女以外が出入りしている様子はなかったぞ」

「侍女が内通者だったらどうするんです？　第一小夜さんを守るなんて、大前提の当たり前です。それを功のように語られても困りますな」

「ああ!?　てめぇは堺でのんびり遊んでただけのくせに、偉ぶって人を見下すんじゃねぇよ！」