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戦国ラブドール
第15章 恐怖、再び
「こっちは秀吉様の使者として堺へ向かったんです! 何の不自由なく戦が出来るのは、誰のおかげだと思っているんですか。堺の会合衆の力なく戦えると思うなら、大間違いですよ」
だが行長の説明も虚しく、佐吉以外の皆に不信の目が向けられる。近江派の中でもそれほど誰かと諍いのない吉継がいない上に、本来指揮を取るはずの高虎もかなりの武断派である。いくら正論であっても、行長の発言は弱かった。
「もう、勝手にしてください! 私達は私達で、好きに捜査します。そんなに自分達が正しいと思うなら、精々私達より早く紅天狗を捕まえる事ですね! 行きましょ、佐吉さん」
行長は怒りに任せて啖呵を切ると、佐吉を連れて評定の場から立ち去ってしまう。それを見た孫六も、冷めた目をして立ち上がった。
「私も、勝手にさせてもらおう。奴らと手を組むのはごめん被るが、不躾な大男の下にも付きたくない。私は私のやり方で、紅天狗を追う」
「お、おい孫! ちょっと待て――」
引き止める虎之助を無視して、孫六も出て行く。追うべきか否か迷ったその時、高虎が呟いた。