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戦国ラブドール
第3章 佐吉という男
 
 まずは志麻から今後について聞いておこうと、大海は立ち上がる。体中が、特に下腹部が痛み歩くのも辛かったが、泣き言は言っていられない。小夜のためにもと、大海は気を強くした。

 小夜に色々と案内を受けながら、大海は侍女達の屋敷を抜け、城の中へと向かう。志麻はとある部屋で書物の整理をしていたが、二人に気付くとすぐに手を止めた。

「昨日はご苦労様だったわね。突然の事で気持ちも落ち込んでいるでしょうけれど、おそらく二度目はないから安心なさい」

 志麻は少しきつそうな見た目と同じく、少々高圧的な喋り方をする女である。しかしその言葉には、翻弄される二人への労りもある。決して悪い女ではなさそうだった。

「あたしが寝ている間、妹を見てくださってありがとうございます」

「あなた方はこの城の侍女となるのですから、当然でしょう。見苦しい真似をされたら、侍女達全員の醜聞に繋がるのです。くれぐれも気を付けなさい」

「は、はい」

「さて、これからですが。何度も申した通り、あなた方は侍女として働いてもらいます。宴のせいで色目を使う武士もいるでしょうが、侍女なのですから従う必要はありません。股ぐらを蹴り飛ばして、断ってやりなさい」
 
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