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戦国ラブドール
第16章 眠れぬ夜は
「三人でって、あたしも一緒に行っていいのかい?」
「当たり前でしょ? 僕達三人は、友達なんだから」
友達、という言葉に、大海は目を輝かせ花が咲いたような笑みを浮かべる。佐吉もその笑顔を見てしまえば、憎まれ口を引っ込めてしまう。
「ふん、勝手な事を……友ではないが、まあいいだろう。囲碁を嗜む仲間である事は、間違いないからな」
言い方こそ素直ではないが、佐吉の頬は僅かに高揚し眉間の皺も薄れている。初めて言葉で認めてもらった事に、大海はますます気分を浮かれさせた。
「なんだか、ここに来てから、今が一番楽しいかもしれないよ。あんたらに会えて、良かった」
すっかり和やかな大海に、佐吉はふと出会ってすぐの頃を思い出す。あの頃の大海は、慰み者としての運命に抗い、周り全てを敵だと睨みつけていた。それに比べれば、今は随分と明るく見える。
(故郷では……おそらくこのような女だったのだろうな)
現状で言えば、大海を取り巻く環境は何も変わっていない。今は無邪気に咲く花を、いつ誰が手折っても文句は言えない立場である。