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戦国ラブドール
第16章 眠れぬ夜は
「祝言を控えた男とあまり親しくしては体裁が悪いだろうと、俺の事を避けても不自然ではないな」
「まあ、考えうる問題は、それだけじゃないだろうけどね」
佐吉にはとても言えないが、佐吉が婚約を知られた事で受ける傷も、志麻は計算しているはずだ。思惑通り佐吉は傷付き、大海に八つ当たりしてしまった。三人の仲は、志麻の頼み一つで大いに乱されてしまっている。
「僕は、彼女を子飼いの玩具だなんて思っていないし、そんな扱いをしようとはこれからも思わない。市松や虎之助の心情はどうなのか知らないけど、志麻の行動は許せないな」
「あの女……くそっ」
「思惑通りここで大海から手を引いたら、彼女はまた玩具扱いに逆戻りだ。佐吉、君がすっぱり謝らない限り、大海には引け目が残る。多分、君と鉢合わせになるのを恐れて、僕にも近付かなくなると思う。彼女を生かすか殺すかは、君の態度にかかってるよ」
「……考えさせてくれ。すぐには、顔を合わせられない」
「佐吉!」
「分かってる、今回は全て俺が悪い! 非を認め頭を下げるのも、俺だ!」