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戦国ラブドール
第16章 眠れぬ夜は
「戻ってこないのは……半兵衛さんのところに行ってるからだと思います。堺から戻ってきて以来、夜はずっと半兵衛さんの部屋から帰ってきませんから」
「……え?」
「あ、違うんです、お姉ちゃん、半兵衛さんに囲碁を教えてもらってるんです! それと――多分、お姉ちゃんは、眠りたくないんだと思うんです」
初めて聞く大海の話に、吉継は言葉を失う。小夜は涙ぐみながら、吉継に胸の内を語った。
「お姉ちゃん、ずっと悪夢に悩まされていて……初めは少しうなされるくらいだったのに、最近は酷くて。わたしも、力になりたくて色々考えたんですが、何も出来ませんでした。だから、眠らないように、外へ出ているんだと思います」
半兵衛がそれを知って囲碁の相手をしているのか、はたまた別の思惑があるのかは分からない。しかし小夜がここまで心配するほど心を乱しながら、大海は吉継へ何も相談しなかった。その事実が、吉継の頭を真っ白にしていた。
「僕、何も知らなかった……」
「お、大谷さんに何か否がある訳じゃないです! お姉ちゃんの事だから、心配を掛けたくなくて黙っていたんだと思います」