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戦国ラブドール
第16章 眠れぬ夜は
「だって、寂しいでしょう。わたしも、寂しいんです。大谷さんで……わたしの、埋めて?」
吉継を愛撫する手は、娼婦そのものである。醸し出す甘ったるい香りも、もはや小夜とは別物。どこで純朴な少女が狂ってしまったのか、吉継には予想がつかなかった。
(秀吉様……と関係を持った後も、別に普通だったし、そもそもこの間出陣する前は、秀吉様別の女に夢中だったよね。お小夜ちゃんが、大海や半兵衛様への嫉妬だけでここまで歪むのか?)
嫉妬に身を焦がし、狂う人間は確かに存在する。だが先程の小夜の言い草からは、大海と半兵衛、どちらに執着しているかは読めなかった。むしろ恋い焦がれて嫉妬していると言うよりは、上の兄弟二人から仲間外れにされて拗ねた妹、という印象である。そんな子どもらしいささやかな嫉妬が、小夜を妖婦にする原因だとは思えなかった。
(何か、別の原因があるはずだ。後で、大海に聞いてみよう)
「……大谷さん」
吉継が結論を出した頃、小夜が顔を上げる。その瞳には、戸惑いが宿っていた。
「ごめんね、お小夜ちゃん。もう分かったと思うけど、いくら続けても……僕のは勃たないよ」