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戦国ラブドール
第16章 眠れぬ夜は
酒を運んでほしい、と志麻に頼まれ、向かった離れの屋敷。そこで待っていた者の姿を見て、大海は心臓が跳ねた。
「市松……」
「お、来たか! 近こう近こう、側に参れ、なんつってな」
市松は悪い男ではないが、それはあくまで素面での事。既に出来上がった市松は、やたら陽気に大海を呼び寄せる。しかし、酔った市松には良い記憶がない。酒だけ置いて早く戻ろうと、なるべく市松へ近付かないように膝をついた。
「……お前、目の下黒くなってるぞ。眠れてないのか?」
だが市松は、身を乗り出し自ら距離を縮める。大海を強引に抱き寄せ、隣に置いて杯を傾けた。
「別に。用は済んだし、あたしは戻るよ」
大海はすぐに立ち上がろうとするが、市松はそれを許さない。大海の腰から尻を、無遠慮に撫で始めた。
「つれねぇなぁ、半兵衛様には尻尾振ってついてくくせに」
「なんで、あんたそんな事知って……いや、仮にそうだとして、あんたには関係ないだろ」
「関係ある。お前は、俺の女だろ」
「また、そんな適当を……この間酒で失敗したのに、懲りてないのかい!」