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戦国ラブドール
第17章 高虎と若虎
「妹の事なら、少し姉と離した方がいいんです。あの子は自立心が足りませんから、一人にして鍛えた方がためになります」
「だからといって、居場所も知らせないまま放置しては可哀想でしょう。朝から錯乱して、半兵衛様に泣きついていましたよ」
「半兵衛様に? 困ったものね、あの方がどんな方か知ってやっているのかしら……」
原因を作ったのは自分だというのに、志麻は文句をこぼす。身勝手な言い分にまた行長のはらわたが煮えくり返った、その時だった。
「行長、そっちはもういい。市松の場所に見当が付いた」
現れたのは、高虎。その後ろには、虎之助も控えている。おそらく高虎も、異常事態に気付き動いていたのだろう。志麻は虎之助を見ると途端にうろたえ、弁解を始めた。
「ち、違うのですよ虎之助さん。市松さんが特別だと言っている訳ではないのです。しかし、今回はあまりに市松さんが憔悴されていたので、可哀想で……」
「虎之助さん、一体どういう事です? 大海さんは、結局どこにいるんですか?」
虎之助は深いため息を吐くと、志麻の目線から逃れるように明後日の方を向く。