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戦国ラブドール
第17章 高虎と若虎
「大海も市松も、城の離れにある屋敷だ。高虎さんが色々聞き込みしてくれたらしくてな。市松は俺と別れてすぐ屋敷に向かい、大海は志麻に頼まれて酒をその屋敷に運んだらしい」
酒という単語に、行長は心臓が跳ねる。大海と酒を飲んだ市松を二人きりにしては、間違いが起きるのは明らかである。そしてそれが志麻の誘導であるのも、間違いなかった。
すると高虎は、大きな体で志麻の前に立ち、威圧しながら口を開く。
「志麻、なんで市松に酒を与えたんだ。あいつはこの前の一件で反省して、今度こそ酒を断つと気張っていたんだ。市松がお気に入りなら、そこは叱り飛ばしても断るべきだったろう」
「あ……あなたに、何が分かるんです! あの子が最近、どれだけ深く悩んでいたか知らないから言えるのです! 皆に迷惑は掛けたくないと気丈に振る舞うあの子を見ていたら、不憫で……」
筋骨隆々とした高虎に睨まれれば、志麻も怖いのか声が震える。しかし負けじと張り合い、涙目になりながらも訴えた。
「大海は、そんな時にあの子を慰めるために用意された娘でしょう! それをまともな女と一緒の扱いをするあなた方が、理解なさってないのです!」