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戦国ラブドール
第1章 拐かされた少女達
実際この武士は、米は半分残してくれた。生活に必要な道具や、働き手である男も取らないと言うのだ。女とて、要求されているのが美女だけならば、そう多くの人数は差し出せない。村の若い衆が多少落ち込むのに目を瞑れば、悪くない取引であった。
「うちの村で若い美女と言えば、月橋さん家の姉妹です。姉は大海(おうみ)、妹は小夜(さよ)といって、二人とも実に器量良しでございます。その二人に比べたら、後の娘は皆、道端の小石みたいなもので」
「良いだろう、ではその月橋の姉妹を呼んでこい」
「へぇ!」
老人は、すっかり気を軽くして駆け出す。たった二人の犠牲で村が救われるなら、全くもって安いものだった。姉妹がどんな思いを抱くのか、そんな事はもはや障害ではなかった。
武士への応対をしていた村の代表者達を除けば、皆家の中へ避難している。月橋の姉妹もまた、自宅に籠もっていた。家主である姉妹の父親は、各地を渡り歩いた薬売りで財を築いたらしい。その家は、村長である老人の家よりも大きいものだった。
「月橋さん! あんたのところの娘が必要なんだ、出してくれ!」